【109】港区南麻布 都心の一等地でフナを釣る 「衆楽園」
麻布。いい響きです。上品で洗練された街というイメージが頭に浮かびます。しかし、東京メトロの広尾駅から10分ちょっと歩くと、都会のど真ん中らしからぬ豊かな水を湛えた釣り堀「衆楽園」が現れます。そよそよと吹く風に当たりながら釣り糸を垂れていたら、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。
昭和の初めから営業しているそうです。この辺りは坂が多く、かつては山だったようです。釣り堀は湧き水を利用しているそうです。緑に囲まれ、水はきれいで、実に静かでした。
釣れるのはフナです。かなり食いが良く、餌が池の底につく前に取られてしまうほどでした。しかし、実際に当たりが来て合わせるのは難しく、釣果は2時間で3匹でした。
近くにはフィンランドやアルジェリアなどの大使館があります。その一方で、豪邸に混じって古い民家も多く残り、少し田舎っぽい雰囲気でした。麻布というとセレブな暮らしを想像しますが、古くからの住民はごく一般的な生活を送っているようです。
奥まった分かりづらい場所にもかかわらず、ひっきりなしに来客があり、ひとりで切り盛りしている女性は餌を作ったり、会計をしたり、魚が飲み込んだ針を外したり、たいへんそうでした。
切り盛りしているのは女性ひとりではありませんでした。真っ白い猫がうろうろ歩き回り、接客をしていました。