【番外14】山梨県甲府市 老舗ワイナリーの地下貯蔵庫に潜る
甲府駅から徒歩5分、一見するとバブリーな結婚式場のような敷地のこの地下に、広大なワイン貯蔵庫があるとは想像できません。大正時代に創業したワイナリーのサドヤは、昭和に入って岩が転がる荒地を開墾、自社畑で育てたブドウからワインを醸造するようになりました。戦時中は帝国海軍に軍需物資を提供していたとして、米軍機による爆撃の標的になったそうです。
地下のセラーは広さ700坪。牢屋みたいですが貯蔵庫です。数万円する年代物のワインも保管されています。
セラーへの入り口。ガイドさんに導かれ、ここから地下へ潜ります。見学時間は40分程度です。
今はタイル壁がくり抜かれて通路のようになっていますが、昔は1部屋1部屋が仕切られ、ここにワインがなみなみと貯蔵されていたそうです。天井に、部屋の中にワインを注ぎ込む穴の跡がありました。飛び込んで泳いだら幸せでしょうね。赤い光が淫靡ですが、赤ワインをイメージした演出だそうです。
貯蔵部屋を掃除するために使っていた横穴です。蒸気機関車の石炭を燃やす釜のようです。
こちらは樽で貯蔵しています。今も使われています。
見学料は1人300円。最後にテイストもできます。私はクルマだったので涙を飲みました。テイストしたワインを買って帰れます。
ワインを醸造する過程で粗酒石という結晶体が発生し、それを採取して手を加えると、ロッシェル塩というものができるそうです。この塩は音波を捉える特性があり、戦時中、潜水艦のソナー(聴音機)を製造するのに使われていたそうです。ロッシェル塩を作れたのはサドヤだけで、結果として米軍機に爆撃されました。今は敷地に瀟洒な建物が立ち並び、当時の面影はありません。レストランや結婚式場も併設されています。