【255】台東区上野公園 小ちゃいころの夏の匂い
「小ちゃいころの朝の匂い、甘い桃の匂いがしてたら、確か夏だった、それが夏だった」ーーレミオロメンの名曲「東京」のこの歌詞を聴くたびに、「ああ、なんか分かる、夏の朝の匂い。でも桃じゃない」という、服の上から背中を掻くようなもどかしい思いをしていました。この3連休の早朝に不忍池のほとりに立ち、蓮の葉の香りを吸い込んだらピンと来ました。これが自分にとっての幼いころの夏の匂いだ、と。
上野広小路側から不忍池に入ると、弁天堂をバックに蓮の花と葉が広がっていました。早朝なのに気温はすでに30度近く。たくさんの水蒸気を含んだ、生ぬるい空気で充満していました。
朝日を浴び、花、葉とも透き通っていました。
弁天堂に渡る橋。蓮の葉が生い茂り、独特の青臭い匂いが漂っていました。子供のころ、夏になるとこの橋の辺りでよくザリガニを取りました。そのときにかいだ匂いでした。当時はあまり好きな匂いではありませんでしたが、いまになってかぐと懐かしい、甘酸っぱい匂いがしました。
橋の近くの水たまりで蝶々が水を飲んでいました。カメラを持って近づいても微動だにせず。あまりの暑さに水を飲むことに夢中だったのかもしれません。
池の向こうは根津の街。高層マンションが続々と立っています。
競演。
※Nikon D800で撮影