【番外9】シンガポール ゲイラン赤線地区
先日他界したリー・クアンユー元首相は、開発独裁という発展モデルでシンガポールをアジア随一の近代国家に変貌させました。中心部は未来的な都市ですが、少し郊外に行けば、開発とは無縁の東南アジアっぽい下町風景が残っています。公娼街があるゲイランはその1つ。華僑を中心に、シンガポール人の日常に触れることができます。
地下鉄のアルジュニード駅を南西方向へ。10分弱歩くと、政府公認の赤線地区にたどり着きました。行政が管理しやすくするためか、各店に番号がふられています。店舗前には、たぶん呼び込みでろう強面のおっさんが座っていて、おそるおそる写真を撮りました。
扉が少し空いている店があり、中に並んで座っている女性が見えました(写真には収めていません)。客はそこで気に入った女性を選ぶのでしょう。
勝手な思い込みかもしれませんが、キリコの絵のような、淫靡で怠惰な空気が街全体に漂っていました。
ゲイランすべてが公娼街なわけではありません。赤線地区の周囲には、地元の人が利用する食堂や雑貨屋、安ホテルなどが並んでいます。この道は、ゲイランの目抜き通りです。
食堂でチキンライスを食べました。スープがついて3ドル。現在1シンガポールドルは90円ぐらいなので、約270円! シンガポール中心部でチキンライスを注文すると20ドル近く取られます。総じて物価が高いと思っていましたが、昔から地元の人が住む郊外まで行けば、一気に物価が下がります。
食堂といっても、厨房だけが建物内にあり、客は外で食べます。東南アジアは日差しが強いですが、日陰に入ればけっこう風が通ります。
この日は釈迦の誕生を祝う祭日「ベサックデー」でした。駅前に大きなテントが立ち、その下は大きな仏壇が置かれ、祈りを捧げていました。
※Sony RX100で撮影