【106】江東区毛利 横十間川の流れ
まだ公衆電話が主流だったころ、 錦糸町のラブホテル街近くにあった運送屋でアルバイトをしていたことがありました。早朝の荷分け作業に向かう途中、若いフィリピン人女性たちが電話をする姿をよく見かけました。故郷の大切な人と話していたのだと思います。それから20年以上、久しぶりに足を運んだその場所に運送屋はなく、フィリピン人女性を見ることもありませんでした。バブルの宴はとうの昔に終わりましたが、そばを流れる横十間川は、変わらず水を湛えていました。
江戸時代初期に掘られた横十間川は、江戸城の横を流れる幅十間の運河だったことから名付けられたそうです。20数年前は写真のような木道はなかったような気がします。今は遊歩道が整備され、近隣住民の憩いの場となっているようです。スカイツリーも風景の一部になっています。
ハゼ釣りのメッカとして釣りキチには有名な川です。ずっと通い詰めているという近所のおじさんが腕前を披露してくれました。8月はまだ小さめです。
市ヶ谷にあった日本ヒューレットパッカードの本社にお邪魔したことがありましたが、いつの間にかこんな渋い場所に移転していました。最寄駅の都営線住吉駅から徒歩7分、ちょっと不便ですがおそらく地代が安いのでしょう。
川の横に広がる猿江恩賜公園。とても暑い日でした、よく焼けたことでしょう。ぜいたくな休日の過ごし方です。
自販機で冷たい飲み物を買い、木陰のベンチに腰を降ろして休んでいたら、餌もあげていないのに雀が近寄ってきました。この公園は江戸から明治にかけ、貯木場だったそうです。今は緑豊かな都立公園として整備され、動物や虫、人間にとって貴重な空間となっています。
首都高の高架下にかかる亀島橋。運送屋はこのすぐ近くにありました。群馬や栃木から大型トラックで夜通し運んできた繊維製品を方面別に荷分けし、浅草などにあった取引先に配送していました。3万8915円のピークをつけた日経平均は下り坂に入っていましたが、バブルが崩壊したことに誰も気づかず、右肩上がりの成長がずっと続くと思い込んでいました。
※Nikon D7100で撮影